「北海道の電気代は高い」とよく言われますが、実はこの言葉は半分正しく、半分誤解です。年間平均では全国平均とほとんど差がありません。本当に高いのは「冬の電気代」と「光熱費の合計」です。
この記事では、北海道の電気代が高いと感じる本当の理由を、データに基づいて解説します。
この記事でわかること
✅ 北海道の電気代は本当に高いのか(全国ランキング)
✅ 冬に電気代が跳ね上がる構造的な理由
✅ 電気代の「単価」が高い背景(発電コスト・送電コスト)
✅ 光熱費全体で見た北海道の負担の実態
北海道の電気代は全国で何番目に高い?
総務省「家計調査」(2024年)によると、北海道の二人以上世帯の電気代平均は月額12,328円。全国平均は12,008円です。差はわずか320円で、地方別ランキングでは5番目前後です。
| 順位 | 地方 | 月額平均 |
|---|---|---|
| 1位 | 北陸 | 15,582円 |
| 2位 | 東北 | 14,258円 |
| 3位 | 中国 | 13,763円 |
| 4位 | 四国 | 13,100円 |
| 5位 | 北海道 | 12,328円 |
| — | 全国平均 | 12,008円 |
※総務省「家計調査」2024年・二人以上世帯データ
意外なことに、北海道は電気代だけで見ればトップ3にも入っていません。北陸や東北の方が電気代は高い傾向にあります。
では、なぜ「北海道の電気代は高い」と感じるのでしょうか。理由は大きく3つあります。
理由① 冬の電気代が全国平均を大きく超える
北海道の電気代の特徴は、年間の変動幅が非常に大きいことです。
| 月 | 北海道 | 全国平均 | 差額 |
|---|---|---|---|
| 1月 | 約16,000円 | 約12,400円 | +3,600円 |
| 4月 | 約12,500円 | 約12,200円 | +300円 |
| 7月 | 約9,500円 | 約10,500円 | −1,000円 |
| 10月 | 約10,800円 | 約10,200円 | +600円 |
※2024年〜2025年のデータに基づく概算
1月の北海道の電気代は全国平均より3,600円も高くなります。一方で7月は全国平均より1,000円安い。年間で均すと差が小さくなるのはこのためです。
多くの人が「電気代が高い」と感じるのは、まさにこの冬場の請求額のインパクトです。年間を通じて一定ではないからこそ、冬の高額な請求が記憶に残ります。
暖房が電気代を押し上げる
資源エネルギー庁の「冬季の省エネ・節電メニュー」によれば、北海道の冬の家庭では電力使用量の約35%を暖房が占めています。外気温が氷点下の日が続く12〜2月は、暖房を24時間稼働させる必要があるためです。
ただし、北海道の多くの家庭は灯油ストーブで暖房しているため、暖房による電気代の増加は主にエアコンやホットカーペットなどの「補助暖房」によるものです。オール電化住宅の場合はこの限りではなく、電気代だけで月2〜3万円に達することもあります。
日照時間の短さ
札幌の12月の日照時間は約90時間で、東京の約170時間の半分程度です。日の出が7時頃、日の入りが16時前と、暗い時間が長いため照明の使用時間が増えます。
理由② 電気料金の「単価」が全国平均より高い
北海道の電気料金が高いもう一つの理由は、料金単価(1kWhあたりの価格)自体が全国平均より高いことです。
発電コストが高い
北海道は2012年の泊原子力発電所の運転停止以降、火力発電への依存度が高まりました。火力発電は燃料費が発電コストの大部分を占めるため、原油やLNG(液化天然ガス)の価格変動の影響を受けやすい構造です。
送電コストが高い
北海道は面積が広大(約8.3万km²)な一方で人口密度が低いため、送電線1kmあたりの利用者数が少なく、送電にかかるコストが1世帯あたりで見ると割高になります。これは北海道電力の託送料金(送電線の使用料)に反映されており、全国の電力会社の中でも高い水準にあります。
送電網は北海道電力ネットワーク株式会社が管理しており、どの電力会社と契約しても同じ送電網を使います。そのため、送電コスト(託送料金)はどの電力会社でも同じです。電力会社を変えて安くできるのは、発電・調達コストと利益率の部分です。
理由③ 灯油代を含む「光熱費全体」が重い
北海道で「電気代が高い」と感じるもう一つの大きな要因は、電気代と灯油代を合算した光熱費の重さです。
北海道の家庭では、暖房と給湯に灯油を使うのが一般的です。総務省の家計調査によれば、北海道の「その他光熱費」(主に灯油代)は月額約5,500円で、全国平均の約1,300円を大きく上回っています。
冬場に限れば灯油代だけで月1万円以上かかることも珍しくなく、電気代と合わせて月3万円を超える家庭もあります。この「光熱費全体の重さ」が、「北海道は電気代が高い」という印象を強めています。
電力会社を乗り換えて安くできるのは「電気代」の部分だけです。灯油代を下げるには、灯油の契約先の見直しや、暖房設備の効率化(断熱リフォーム、高効率ボイラーへの交換等)が必要です。ただし、電気代だけでも年間数千円〜数万円の節約が可能なので、できるところから見直すことが大切です。
北海道の電気代を安くすることはできる?
結論から言えば、できます。
送電コスト(託送料金)はどの電力会社でも同じですが、発電・調達コストと利益率は電力会社によって異なります。電力自由化後、北海道でも複数の電力会社が参入しており、北海道電力の従量電灯Bから乗り換えることで年間1〜5万円程度の節約が可能なケースがあります。
特に使用量が多い世帯(月280kWh以上)は節約効果が大きくなる傾向があります。
あなたの条件で年間いくら安くなる?
北海道の季節変動を加味した12ヶ月シミュレーション。
まとめ
北海道の電気代は、年間平均では全国5位程度で飛び抜けて高いわけではありません。しかし、冬場は全国平均を3,000〜4,000円上回り、灯油代を含めた光熱費全体では年間で約5万円の差になります。
背景には暖房需要の大きさ、火力発電への依存、広大な面積による送電コストの高さがあります。これらは個人の努力では変えられませんが、電力会社の選択は自分で変えることができます。
電気代の単価自体を下げることはできませんが、より安い電力会社に乗り換えることで実質的な負担を減らすことは可能です。乗り換えの手順は乗り換えガイドで詳しく解説しています。
記事情報
公開日:2026年3月26日
参照資料:総務省「家計調査」(2024年)、資源エネルギー庁「冬季の省エネ・節電メニュー(北海道)」、北海道電力公表データ
※本記事は上記資料に基づいて作成しています。最新の情報は各機関の公式サイトをご確認ください。

